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Rich Men

Rich Man達はとてもRichなので歩くのをやめた。

いつも自動車に乗り、運転手に運転させる。
自動車の入れない道や建物の中はおんぶしてもらってたし、
イタリアレストランではヒゲの生えたジムが全てをしてくれた。
歯磨きは召使いのルビーがしてくれたし、
お風呂に入るときはボビーに言えばやってくれた。

全てみんながしてくれるんでRich Manはやることがない。

暇で暇でしかたがない。

ある日、自分でベットから降りてみた。カーペットが足についたのではなく、
足がカーペットについたのだ。
Rich Manはなんとか自分で立つことができた。

もう30年も立っていなかったので、大きく揺れて転んでしまった。
最後に転んだのなんか40年も前だったのでRich Manはおかしくて、おかしくて
その場で大笑いをした。大笑いも何十年ぶりだった。

それから、Rich Manは歩くことにした。
どこに行くにも歩くことにした。
転んでは大笑いをした。

Rich Manはココロのやさしい人間だった。
歩くことができた自分が歩くことをしなかったことを恥じた。
歩くことができない人はたくさんいるのに。
Rich Manは後悔した。

歩くというのはただ物理的な意味だけでなく
進歩という意味でも後悔したのだ。

お金を無駄なことに使い、歩くという行為をドブに捨てていたのだ。
Rich Manは進歩した。

自分が必要とする最小限のお金だけを収入から受け取り、
余ったお金は歩けない人達のために寄付した。
Rich Manは豪邸を売り、豪華な装飾品も売った。

自分は小さなアパートに住み、仕事に専念した。
自由なお金がなくてもRich Manは暇ではなかった。

月曜日から金曜日は仕事をして、
土曜日は図書館で本を借りてきて読んだ。掃除や洗濯も自分でやった。
そして、たまに送られてくるRich Manのおかげで歩けるようになった人達からの
手紙を一通一通、うれしそうに読んだ、返事も書いた。
日曜日の朝は必ずウォーキングをした。
帰ってくると鉢に水をやり、葉っぱをなでてやった。

好きなことは
冷蔵庫にきちんと並べて野菜を入れること、
週に一回、部屋の隅を掃除すること、
ビンのふたをきれいに洗って集めること、
小さな映画館で一人で映画を見ることだった。

そんなRich Manをジムやボビー、ルビーは尊敬した。
今までRich Manは雇い主であったが、自然に友達という関係にになった。
みんなでパーティーをしたり、トランプで遊んだりした。

歩くことができる。
理解し合える仲間達と話し、遊ぶ。
自分に正直に生きれた。

それだけでRich Manは幸せだったのだ。

Rich Manのかわいがっていた鉢はすくすくと成長していき花を咲かせた。
かわいらしい赤い花を咲かせた。
by shimano.k | 2004-10-13 06:24 | 広がれ妄想
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